深夜特急を読んで | Young Age Vol.22

公開日: ヤングエイジ

シンガポール

What am I doing here?
俺は旅をしながら何度もそんなことを考えた。
シンガポールの安宿で、俺は思い出していた。

何で俺はこんな所にいるんだろう?

深夜特急を読んで

小さい頃、スナフキンのようになりたかった。
別に夢っていう訳じゃなかった。
ただ漠然と大人になったらそうするんだろうなって思っていた。

高校を卒業する時、将来を見失った。
大学に行きたかった。
高校時代勉強などまったくせずに遊びほうけていた俺が奇跡的に高校を卒業できただけでもありがたいのに大学まで行こうなんて虫が良すぎる話だ。

いきなり社会に放り出された。

高校を卒業する前に一つだけ将来を決めていた。
『俺は世界を見る』 卒業まじかに友達の前で言った。

何もない俺が何したいのか?

自分なりに考えた結果、昔を思い出した。

俺はまず働きながら金を貯めてアメリカに行った。
英語がしゃべれない。
行けば何とかなるっしょ?
ちっともならねーよ!
ボロボロに打ちのめされて帰ってきた。

英語は全然ダメだったがアメリカでの生活は最高だった!!

帰国後、今度は英語を自分で勉強しながら働いた。
英語にリベンジする為に。
その後アリゾナ州に短期留学し何とか片言の英語を覚えた。

もっと英語を勉強したかった。
仕事を転々としながらお金を貯めた。
だがいつしか俺は満員電車に馴染んでいた。

スーツはヨレヨレ。
目には若さがなく通勤ラッシュにもまれていた。
日本のサラリーマンはホントに偉い
ストレスで病気になり過労死するまで会社の為と働き続ける。
まさに現代の侍だ。

俺には無理だった。

私生活もうまくいかず全てにおいて半端に終わりかけていた。
そんな時、先輩からアジアを放浪したと言う話を聞いた。
バックパッカーとか言う旅のスタイルがある事を初めて知った。

放浪の旅と言うことに興味が出た。
友達が沢木耕太郎の深夜特急を貸してくれた。

深夜特急を読んでこう決めた。

ま、いっか。
とりあえず旅に出よう。

お金がない。
英語が喋れない。
時間がない。

うだうだ言い訳ばかり並べてやりたい事をやると言う、極シンプルな原理から逃げていた。

30万円もあれば二ヶ月くらい普通に過ごせる。
足りなきゃクレジットカードでキャッシングすればいい。
英語だって片言しゃべれれば困らないだろう。
俺は完全に開き直った。

沢木耕太郎の本を読んで気負いみたいな物がなくなった。
旅は自由なんだ、その人なりのスタイルで好きにすれば良いんだ。
いや、本当はそんな理屈など、どうでもよかった。

ただ単純に彼の旅が羨ましかった。
居ても立ってもいられなかった。

理由も何も要らない
ただ行きたいから行く

俺も行こう!!
本を読んでいるうちに選択肢が一つだけになっていた。
この本を読んで旅に出た方もかなりたくさん居ると思う。

ただ行きたいから行く
そんな当たり前のことを決断させてくれた。

だから俺は今、ここに居る

日本で生活していると時々当たり前のことを当たり前に考えられなくなる時が何故か多々ある。

世界遺産ハンター Young Age の記事一覧

今読むと時代が違いすぎるが旅の本としては一番、この本が好きだ。
ただ一つ、この本を読むと仕事を放り投げ旅に出たくなってしまうと言う強烈な副作用がある。

おすすめの本ではあるが読むタイミングは考慮してほしい。

あとがき

世界中を旅してまわることは俺にとって夢でもなんでもなかった。
ただ、単にやりたい事のひとつだった。

実際問題、世界中を旅してまわる事なんてお金と時間さえあれば誰でも出来る事だとわかりきっていた。
大して難しい話じゃない。

この旅を終えた後、その気持ちはより一層強くなった。

事実、この旅を終えた数年後にはタイ、カンボジア、ベトナム、ラオスをまわる第2回目の旅に出る。

俺は仕事を辞める度に旅に出て
東南アジアを制し、その後はインドや中東を抜けてヨーロッパに向かう。

そう思っていた。
だが、旅から文無しで帰国し、いちから仕事を探し、自ら社会のシステムに組み込まれて行く。
こう言うローテーションがめんどくさく思えてきた。

俺は投資と言うものに夢を見た。
一億円くらいあればそう言う心配はしなくていいだろう

そう思って株式投資にのめり込んでいった。
結果は惨敗。
ライブドアショックの果てに貯蓄どころか借金をこしらえてしまう始末。

あの時、株にのめり込まなければ20代の内に世界中を旅してまわれたかもしれない。
それだけのお金を失った。

でも、俺は懲りない男だった。
株なんてやってられねーぜ

今はFXだ!

はじめこそ調子良かったものの
サブプライム問題
そしてリーマンショック

リスクを取らなきゃ大金は掴めない
ナイアガラのように落ちるチャートを眺めながら必死に戦い続けた。
数十秒で数十万円が消えていく。

結果は惨敗。
俺の資産はナイアガラに飲み込まれ
一番ひどい時でサラ金に300万くらいの借金をこしらえてしまった。

必死に働いたお金は一瞬で消え、残ったのはリアルに返さなければならない借金200万。
ナイアガラチャートと共に全てモニターの中に消え去った。
何ひとつ、贅沢もしていないのに。

眼に映る全てがクソだと思った。
この世の中は何かが間違っていると。

結局、なんども旅にでるチャンスはあったのだけれどもことごとく投資に失敗して10年の歳月を失った。

そして2015年
俺はようやく、世界中を旅する事が出来たのだ。

自分のやりたい事 | 旅立ち編

公開日: : 最終更新日:2018/03/02 ヤングエイジ

関連記事

ペナン島のウォールアート

マレーシアの首都クアラルンプールへ | Young Age Vol.16

ペナン島での日々 2001年7月11日 マレーシアに入国したはいいが、特に興味の

記事を読む

マーライオン

インドネシアのバタムアイランドへ | Young Age Vol.23

写真は2016年に撮影したセントーサ島にある最大サイズのマーライオン 2001年 ま

記事を読む

ミドルエイジ

ダイビングのライセンスを取りにタオ島に行く その3

2008年 ダイビングのライセンスを取りに行く旅 十年くらい前の出来事なんてほとんど

記事を読む

ヤングエイジ

旅の写真、被写体はそこにある | Young Age Vol.25

マクドナルドの安心感 2001年7月19日 朝起きて体調を確かめる。 胃がまだ

記事を読む

パンガン島へ | Young Age Vol.11

写真は2016年に撮影したパンガン島の綺麗な海(バンタンビーチではない) 2001年6

記事を読む

youngage13

ダイビングの島コ・タオ | Young Age Vol.13

写真は2016年パンガン島にて 2001年7月3日 タオ島はダイビングの島だった

記事を読む

クアラルンプールのツインタワー

世界一高いツインタワー | Young Age Vol.17

2001年 世界一高い建物は、1998年に完成したマレーシアにあるツインタワーだった。

記事を読む

マーライオン

異国の地を旅するという事 | Young Age Vol.20

写真は2016年に撮影したシンガポールのマーライオン 異国の地を旅するという事

記事を読む

バリ島『ウブド』

バリ島「ウブド」| Young Age Vol.37

2001年8月 毎日、毎日、絡まれるクタに嫌気がさした。 俺たちは癒しの楽園と言われ

記事を読む

ジョージタウンのストリートアート

人生初の国境ごえ | Young Age Vol.15

写真は2016年6月にペナン島のジョージタウンで撮影したストリートアート 世界遺産ハンター

記事を読む

トラックバック用URL

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

PAGE TOP ↑