『マハーバーラタ』インドに行く前に読んでおきたい本

マハーバーラタは古代インドの宗教的、哲学的、神話的叙事詩でヒンドゥー教の聖典のうちでも重視されるものの1つ。インドを旅する際にこの本を読んでおけば色々な建造物を見ながら『あ、これ知ってる!』と言う気分を味わう事が出来るようになるので観光が楽しくなる事間違い無し。
神話的叙事詩と言うと難解でつまらなそうだがこの本はかなり読みやすく小説を読むように読む事が出来るのでおすすめ。登場人物の名前がかなり憶えにくくて少し苦労したがここに出てくる登場人物はかなり重要な人が多いいので憶えておくと旅をした時の楽しみが倍増する。
C・ラージャーゴーパーラーチャリ (著), 奈良 毅 (翻訳), 田中 嫺玉 (翻訳)
マハーバーラタのあらすじ
マハーバーラタはヴャーサと言う賢者が智慧の神ガネーシャに書き取ってもらったと言う事になっている。
物語はパーンドゥ家とクル家の王子たちによるバーラタ王朝内の争いを軸に数多くの神々や英雄たちの物語が交差していく。普通に『三国志面白い!』みたいな感覚で読めるのでインドについて勉強するにはもってこいの本だった。
マハーバーラタ(上)
この本は物語が始まる前の前書きが多いい、第一章が始まるのが31ページからとなっている。正直、31ページまではかなり退屈なので斜め読みでも良いかもしれない。
第一章はパーンドゥ家とクル家の先祖の話から始まる。この後、子孫として生まれてくるパーンドゥとドリタラーシュトラ(クル家)の息子たちが戦争を始める事になる。
主要な登場人物
パーンドゥ王の王子達
ユディシュティラ
パーンドゥ家の長男で徳の高い人物、三国志で例えるならば劉備。
ビーマ
怪力の持ち主で最強の武人、三国志で例えるならば張飛。
ガトートカチャ
ビーマの息子
アルジュナ
力のビーマ、技のアルジュナとも言われた武人でかなり徳の高い人物、三国志に例えるならば関羽。
アビマンニュ
アルジュナの息子
ナクラとサハデーヴァ
ユディシュティラ達と異母兄弟で上巻では存在が薄い。中巻、下巻で活躍するのか?
シャリア
ナクラ、サハデーヴァの母マードリーの兄で大軍を率いてユディシュティラの応援に駆けつけるが途中でドゥルヨーダナの接待を受けてしまい、ドゥルヨーダナ軍に加勢しなければならなくなってしまった。大戦ではウッタラ王子を打つ。
パーンドゥ王妃
クンティー
カルナ、ユディシュティラ、ビーマ、アルジュナの母で太陽神スーリヤとの契約によりその息子たちは特別な力を持っている。
五人の王子の妻
ドラウパディー
パンチャーラ国の王ドルパダの娘で五人の王子の共通の妻。
ハヌマーン
風神(ヴァーユ)の申し子でビーマの兄
ドラウパディーとドリシュタデュムナの父
ドルパダ王
ドローナの幼馴染で、昔の確執によりドローナに国の半分を取られ、恨んでいる。
パーンドゥ家の盟友
クリシュナ
パーンドゥ家の盟友、ヤドゥ族の長ヴァスディーヴァの息子でビーマやアルジュナに匹敵する力を持つ。三国志で例えるなら超雲。
クリシュナはヒンドゥー教におけるヴィシュヌ神の第8の化身でビシュヌに匹敵するほどの人気があるとても重要な人物。
バララーマ
クリシュナの兄でヴィシュヌ神をいつも守る存在、蛇族の王「アナンタ」の生まれ変わり。
ドリシュタデュムナ
ドローナにトドメを刺すために生まれて来たような男で、ビーシュマに引けを取らないほどの弓の達人。ギータでは、アルジュナとクリシュナの推薦により総大将を務める。
クル家の盲目王
ドゥリタラーシュトラ
元々は徳の高い人物だが息子のドゥルヨーダナを溺愛するが為に道を踏み外す。
クル家の王子
ドゥルヨーダナ
深い嫉妬によりユディシュティラ達と対立する。この本では諸悪の根源で完全に悪者扱い。
カルナ
パーンドゥ王妃クンティーの息子でユディシュティラたちの長兄だが生まれてすぐに捨てられてしまった為にその事を知らない。太陽神スーリヤの血を引いているので最強の武人、三国志で例えるならば呂布。皮肉な事にドゥルヨーダナに仕えていてドゥルヨーダナを崇拝している。
ビーシュマ
女神ガンガーとシャーンタヌ王の第一王子で、ドゥリタラーシュトラとパーンドゥの叔父に当たる。年老いても最強の武人であり、人格者。
ヴィドゥラ
賢者マーンダッヴャに呪われ人間に生まれ変わったダルマ神。ドリタラーシュトラの首席顧問で、とても高い徳と知識をもっている人格者。
ドローナ
アルジュナやカルナの武術師範で、その技量はビーシュマ以上とも言われる。ドラウパディーの父であるドルパダ王の幼馴染で確執があり、のちにそれが災いとなる。婆羅門の中でドローナに肩を並べられるのはパラシュラーマくらい。
アシュワッターマン
ドローナの息子でシヴァの化身
まだ、あまり登場しないが中盤以降、活躍するのか?
クリパ
アシュワッターマンの叔父
シャクニ
ドゥルヨーダナの叔父でサイコロ賭博の達人。ユディシュティラをサイコロ賭博に誘い、彼らの国を奪い追放してしまう。
クリタヴァルマン
ドゥルヨーダナ軍
ビーシュマを恨んだ姫
アンバー姫
ビーシュマを恨み、シヴァ神に懇願してシカンディン生まれ変わる。
最強の波羅門
パラシュラーマ
アンバー姫に請われビーシュマと互角に戦うが、敗れる。
マガダ国の王
ジャラーサンダ
86人の領主を牢獄に押し込み、全部で100人の領主を生贄に捧げようとしている恐ろしい王。
二人の母親から半分づつ生まれたが人肉を喰う鬼女が食べようと持ち上げたところ、偶然一つに合わさって一人の赤子となった。
ビーマと14日間、素手で互角に死闘を繰り広げたのちに敗れる。
ジャラーサンダの父
ブリハドラタ
子供ができず、聖者に子供ができるマンゴーを貰ったが二人の嫁に半分づつ食べさせたところ、半分づつの子供が生まれてしまった。
チューディ国の王
シシュパーラ
有力な王であったがユディシュティラが皇帝になるラージャスーヤの祭典でクリシュナを罵倒しまくった挙句、決闘になり敗れて殺されてしまう。
乾闥婆(ガンダルヴァ)の王
チットラセーナ
インドラ神に仕える半神半獣の奏楽の神で魔術が使える。ドゥルヨーダナ達と戦い捕虜にする。
ユディシュティラ達とは争うつもりがなく、ドゥルヨーダナを解放する。
マッツャ国の王
ヴィラータ
ユディシュティラ達が最後の一年を隠れて過ごす時に潜伏した国の王で、ギーターでは一軍の将として戦う。
ウッタラ王子
ドゥルヨーダナがマッツャ国の牛を盗みに来た際に、アルジュナと戦いに行くがビビって逃げ回る、しかし、アルジュナが一人でドゥルヨーダナ軍を撃退し、ウッタラ王子の手柄とする。
シュウェータ
ウッタラの兄で大戦で活躍するがビーシュマに敢え無く敗れる。
マッツャ国の国軍総司令官
キーチャカ
シュデーシュナー王妃の弟で、マッツャ国を実質仕切っており、ビーマ、バララーマと互角の力があると言われる大豪傑。
ドラウパディーに惚れ、無理やり自分のものにしよとするが怒ったドラウパディーの計略でビーマと戦い、最後は肉団子にされてしまう。
聖仙
ブリハスパティ
マハーバリプラムの世界遺産
マハーバリプラムの世界遺産はマハーバーラタとかなり関係をしている。

ファイブ・ラタの五つのラタは『マハーバーラタ』の主要な登場人物の名にちなんで、ドラウパディー・ラタ、アルジュナ・ラタ、ビーマ・ラタ、ナクラ・サハーデーヴァ・ラタ、ダルマラージャ・ラタと命名されている。

「アルジュナの苦行」はパーンドゥ家の王子アルジュナはシヴァ神の加護を得るべく、構図の中央で神話上の神々や動物たちに取り巻かれながら、一本足で立ちつづける苦行をしているというもの。

バターボールをナイフで切ったような形の岩でクリシュナがバターボールを大好物だった事に由来してクリシュナのバターボールと呼ばれるようになった。
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