レボリューション! | Young Age Vol.29

2001年7月23日
アップルが音楽業界を牛耳る前
人々はディスクマンやMDプレイヤーを使っていた。
この数ヶ月後、スティーブ・ジョブズがiPodを発表し
音楽業界に革命を起こす。
そんな時代
俺はインドネシアのジャカルタに到着した。
レボリューション
船で一夜を明かし、朝、起きるとジャカルタが見えていた。
どーせ時間どうりに着かないだろうと思っていたが、まだバタムを出航してから30時間もかかっていない。
意外にも結構時間どうりだ。
とにかくバックパックに荷物を詰め込み船を降りる準備をした。
しかし、船の出口は信じられないような混雑ぶりだ。
一言で表すとバトルロワイヤル
こ、ここから出るの?
まったくこの国ときたら船から降りるだけで一苦労だ。
降りる順番もへったくれもない。
あるのはただシンプルな現実
弱肉強食、早いもん勝ち、押しのけたもん勝ち
俺はこのバトルロワイヤルに参加したくなかった。
人が減るまでタバコでも吹かしながら待った。
ようやくすいてきた。
それでも人に揉みくちゃにされた。
やれやれだぜ
港へ降るのも楽じゃないぜ
俺的に港と言えば海の男
気分だけでもせっかく船から降りてくるんだから海の男をあじわいたかった。
しかし、港はまたもやガラが悪い・・・
やっぱ海の男はタフじゃなくちゃね。
しょうがなく俺は遠慮気味に端のほうをトボトボ歩いて市街地までの行き方を模索した。
俺はガイドブックすら持っていない。
あるのはジャカルタの市街地の地図だけ。
ま、何とかなるっしょ
取り合えずタクシーでも乗るか。
しかし、この国でタクシーに乗るのは不安でしょうがねー。
取り合えず声かけてくる奴はシカトして現地人を誘導してる人のよさそうな奴に声をかけた。
「ジャランジャクサ(ジャカルタの安宿街)行きたいんだ」
「5ドル」
「高すぎだろ?」
どのくらいの距離かもよくわからんが取り合えず値切ってみた。
しかし、一向に値段は下がらない。
ま、ボラれてもたいしたことねーし、変な所つれてかれて身包み剥がされたら元も子もない。
「じゃ、分ったよ4ドルね」と言ってそいつについて行った。
これ、タクシー?
乗合のピックアップトラックじゃん・・・
それにしちゃ4ドルは高いけど、ま、いっか。
現地人も乗ってるから身包みを剥されるような事もないだろう。
すぐにつくと思ったジャランジャクサはなかなかつかない。
街は相変わらず物々しい。
首都なのに銃を持った兵隊がわんさかいる。
何も知らずにこんなところまで来ちゃったけれどもインドネシアは修羅の国なのか?
街には右翼みたいな街宣車に乗った奴らが旗を掲げて騒いでる。
ずいぶんハードな国だ。
内戦でも始まりそうな不穏な空気。
デンジャラスな街を一時間くらい走ってようやく到着。
一時間か~
ところで4ドルって高いの?安いの?
ま、そんなことはどうでもよくて取り合えず宿を探した。
すぐに見つかった。
一泊1.5ドル位、「うわぁ~安!」
取り合えずそこに宿を取りメールでもしにネット屋さんに向かった。
ネット屋さんで久々に日本のニュースとか見てたらびっくり
インドネシアでクーデター!!
首都ジャカルタ厳戒態勢、外出禁止などなど・・・
え~っ!?
でも、これで納得した。
物々しい兵隊さんや街宣車に乗った奴ら。
バタム島でのガラの悪さや兵隊の数。
内戦とはいかないまでも結構ヤバイ時期に俺、変なとこうろついていたんだな~
俺はお気楽な日本人旅行者。
船に乗ってる間クーデター!!
首都に着いてみたらレボリューション。
まいったぜ。
あとがき
革命を体験するのは二度目だ。
一度目は、1997年にあった香港の返還。
香港は予定調和の返還なのでただのお祭り騒ぎ
香港人の友達と返還パーティーに行ってワンネイションとか言って騒いで遊んでいた。
だが、今回の革命は違う
インドネシアに入国した時から不穏な空気が漂っており、物々しい装備の兵隊が街に溢れていた。
バカでも気がつくヤバイ空気。
俺は治安がクソ悪いのかと思って心配していた。
そうじゃなかった。
政権が不安定だったのだ。
幸いな事に危ない目には合わなかったが、何かが違っていれば内戦に突入していたかもしれない。
危ないところだった。
それはさておき、旅行者にとって一番の打撃は、この日を界にインドネシアルピーが3割も値上がりしたことだ。70円位だったものが100円位になる。
現地通貨で生活するインドネシア人は何も変わらないのだが俺のお金は全て円とドルで持っている。
一夜にして全てが三割増だ。
なんてこったい。
それでも、当時のインドネシアの物価はクソ安かったから旅行するのに困ることは無かった。
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