ジョグジャカルタ | Young Age Vol.32

2001年7月25日
ジョグジャカルタ
早朝、ジョグジャカルタに辿り着いた。
灼熱の東南アジアだと言うのに肌寒かった。
それでも極寒のミッドナイトエクスプレスよりはマシだ。
体調は悪い。
早く宿に辿り着いて休みたい。
駅を出ると客引きが凄かった。
金をむしり取られると思い、そいつらをシカトしてしばらく歩いた。
普通の通りに出た所で座り込み、とりあえず一服しながらジャカルタで買い込んだ地球の歩き方を開いた。
するとすぐに人力車のオヤジが声を掛けてきた。
『ヘイ ミスター何処へ行く?』
俺は早速、地球の歩き方に載っていた一泊6ドルでホットシャワー、しかも、プール付きのゲストハウスを目指すことにした。
ここでリッチに養生しよう。
人力車の親父は大して吹っかけてこなかった。
やはり駅の周りを出て普通の通りに出たのは正解だった。
しかも、ガイドブックに大体の料金の目安まで載っている。
『この本に値段の相場が書いてあるぜ』
それでもそこは少し遠いいとか何とか言って頑張るオヤジ。
ま、10円、20円の金額の差を無理にガイドブックの相場まで値切る必要も無かったので親父の言い値で行くことにした。
インドネシアは物価が安い。
日本の10分の1とまではいかないがそれに近い。
大した金を持って旅をしている訳ではないが、どうせ日本に帰ってジュースの一本でも飲めば120円かかってしまう。
よく東南アジアでは、何円とか何十円のことでマジ喧嘩をしている日本人を見かけるが俺の旅はせいぜい二ヶ月程度、その後は日本へ帰国しまた働かなければならない。せっかく物価が安いのだから少しばかし優雅に過ごしたい。
日本で貧乏している俺はこの金持ち気分がたまらなく素敵に感じた。
今にして思えば普段、金に苦労している分、余計リッチな気分だったのかもしれない。
貧乏を美徳としているバックパッカーは多い。
俺も日本で読んだバックパッカーとはこう言うものだみたいな本に影響され、初めの頃こそ数十円をケチって旅をしていたがこの頃にはそんな事、どうでも良くなっていた。
俺は、この国では小金持ちだ。
世界の経済格差を感じた。
俺はふと考える。
大した主義も主張も無く、ただブラブラと放浪をする。
大した意味も、目的もない。
だから大抵のことは人に合わせている。
これでいいのかな?
まぁいいか
旅は休息。
マイペンライ(タイ語で最もよく使われるという まぁいいか・気にするなよ と言う意味)、
東南アジアにはそんな甘ったるい空気が漂っていた。
あとがき
この頃のバックパッカーの風潮としては、少しでもお金を高く払う奴はボラれてる間抜けな人、旅のアマチュア的な雰囲気があった。
安く旅するのが上級者で、真面目気質な日本人は特に一生懸命に頑張って節約している人が多かった。
初めの頃こそ俺も一生懸命になって節約して、旅の上級者を目指していたけれども途中でバカらしくなった。
自由になりたくて旅しているのに誰かが決めた風潮に合わせて一生懸命節約する必要なんてない。
大体、たかだか二ヶ月程度の旅で数十円、数百円を節約したところで数万円節約できればいい方、だったら物価の高い日本で働いて、物価の安い東南アジアで使った方が有意義にお金を使えるのではないだろうか?
旅先で色々な先輩バックパッカーに出会ったけれども几帳面で真面目な日本人気質な人ほど一生懸命、節約してバックパッカー上級者を目指している。たかだか数十円高いとか数十円ボラれたとかで現地の人と本気で喧嘩しちゃってる。
でも、話すとそう言う人ほど常識人で、爽やか普通にいい人が多かったから常識とか風潮って怖いなって思った。
何が何でも現地の人と同じ交通機関で、同じもん食って同じ料金で旅する事こそ上級者って風潮が強かったみたい。
今は色々な価値観が浸透して色々なスタイルでみんな思い思いに旅しているんだろうけど当時出会ったバックパッカーの7割以上は、ガチガチの節約タイプで、安宿に行くと俺はいくら位で旅できるみたいな節約自慢が多かった気がする。
だから俺は当時、日本人宿には近づかなかったんだ。
おかげでマーシーと別れて以来、日本人と誰とも合わず、この頃には少し日本人が恋しくなっていた。
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