ヨーロッパに行く前に読んでおきたい本『旧約聖書を知っていますか』阿刀田高(著)

公開日: 読書&映画

旧約聖書を知っていますか

旧約聖書を知っていますか

旅に出る前に基本的な宗教の基礎知識を勉強しておきたいと思って『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』を読んだ。やはり世界を旅するにあたって基本的な宗教知識はあった方が良い。そんな訳でまずは旧約聖書を読んでみようと思ってこの本を読んだ。

旧約聖書を知っていますか
阿刀田高(著)

旧約聖書はユダヤ教の聖典でキリスト教やイスラム教の原点にもあたる。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の人口だけで世界の人口の半分以上にも及ぶ。つまり全世界の半分以上の人が信じていると言う事だ。

しかし、旧約聖書を読んでみたいとは思ったが正直、熱心な宗教の信者でも無い限り、あの分厚い古典を読む事は不可能ではないか?と思い、なるべく読みやすそうな本を選んだのがこの本だった。

そう言った意味では当たりでこの本はかなり読みやすかった。ただ、必要以上にちゃかした説明で若干、読みづらい感はあったが。それでも大まかな旧約聖書の流れはわかったし入門書としては良かったと思う。

旧約聖書

この本ではまず英雄アブラハムの話から始まる。アブラハムはイスラエルの建国者とも言う人物で、ある時、神より預言を授かり妻のサラと甥のロトと共に旅に出る。

ちなみにロトと言えば日本人にはドラゴンクエストでおなじみの勇者ロト。聖書とは全く関係ないけれどもドラクエを作る時に参考にしたのではないかと勝手に想像してしまう。聖書でのロトはあの有名な堕落した都市ソドムとゴモラが神の怒りを受けて壊滅した際に信仰心がある家族として唯一逃がされる。しかし、ロトの奥さんだけは逃げる際に「後ろを振り返ってはいけない」と指示されていたが後ろを振り返ってしまい、「塩の柱」となってしまった。

と、まあ色々あってアブラハムは現在のイスラエルに辿り着きそこで子孫を繁栄させるように神から預言を受ける。しかし、アブラハムには子供が居なかった。その悩みを知った妻サラは自分が子供を産めないので自分の召使いハガルを差し出し子孫を繁栄させようとした。ハガルは身ごもってイシュマエルを産む。ハガルはエジプトの女だった為、半分異教徒の血筋だった。

しかし、十数年が経ち、サラがイサクと言う息子を産む事になる。するとサラは異教徒の血を引くハガルとイシュマエルが疎ましくなりわずかな食料と水だけ与えて砂漠に追い出してしまう。

何とも惨い仕打ちでこんな人が聖人扱いでいいの?と読んでいて思てしまうのだけれども聖書によると神様は異教徒に厳しい。

しかし、イシュマエルも半分はアブラハムの血を引く者なので神のご加護で生きながらえアラブ人の祖先となる。後のイスラム教の創唱者となるマホメット(ムハンマド)はイシュマエルの末裔とされている。

アブラハムからイサク、イサクの子ヤコブ、ヤコブの子ヨセフと続きその四代後に生まれてきたのがあの有名なモーゼ。モーゼは海を割ったり十戒をつくったり色々な奇跡を起こした。

モーゼの後につづくのがヨシュア。モーゼと共にエジプトから現在のイスラエルに戻ってきてそこでその時、そこに住んでいた者たちと戦う事になる。

旧約聖書を読んでいて俺が物凄く疑問に思うのは神様はかなりユダヤ人贔屓でその他の民族は皆殺しだ!みたいな感じがどうも良くわからない。勿論、ユダヤ人からみれば民族を導くユダヤ人の神と言う事でわかるのだが世界中に居るキリスト教徒の人やイスラム教徒の人はこれをどのように解釈しているのだろうか?

日本人の俺からしたら全くもって他国の神様にしか思えないのだけれども。

で、有名なダビデ王やソロモン王の時代へとつづく。

その後、創世記に戻り、アダムとイブの話になり、アベルとカインの話になるってノアの箱船と言うわりかし俺でもなんとなく知っている話になる。

どうも著者の阿刀田高氏が話をちゃかしまくるので読みやすくはあったがイマイチ聖書の話自体は面白く無かった。また、阿刀田高氏は全くの異教徒なのでやや神に対して批判気味だった。しかし、一般の日本人の感覚からするとあながち間違ってはいない感覚の様な気もした。

最近、読んだインドの古典『マハーバーラタ』は読みやすい物語テイストだったので話自体が面白かった。旧約聖書も小説のように読めるストーリー仕立てで読みやすい本で読みたいところだ。しかし、旧約聖書の概要をさらっと知りたい人にこの本はとてもおすすめ。なんだかんだと言って旧約聖書の勉強になったので凄くためになる本だった。

ヨーロッパを旅する際、沢山の世界遺産、絵画や彫刻を見る事が出来ると思うが旧約聖書を知っていればそのモチーフが何なのかわかるようになると思う、旅をより楽しくする為にこういった雑学をもっともっと学んでいきたいと思う。

旧約聖書を知っていますか
阿刀田高(著)

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