『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の感想

公開日: 読書&映画

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の感想

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』が公開されたのは2007年なのでもう13年も前になる。確か当時、映画館に観に行った時はシンジがずーっとウダウダ言っているので気分が凹むし、鬱っぽくてあまり楽しめなかった。しかし、改めて見ると映像のクオリティがめちゃくちゃ高い。アニメ版とは比べ物にならないクオリティだ。

これがYouTubeで無料公開されちゃうなんてすごい時代になった。
コロナのせいで自宅に篭り、暇を持て余しているこの時期に公開してくれたスタジオカラーにマジで感謝。

時代を感じるヱヴァンゲリヲンの世界観

アニメ、エヴァンゲリオンが放映されていたのは1995年、なんと今から25年も前の話だ。劇中の時代設定は2015年で、放映時から20年後の世界だったのだが、現実世界ではすでに5年もの月日が過ぎ去ってしまった。

当時はリアルタイムでは見ていなかったのだけれども友達が面白い、面白いと勧めてくれたので映画版が放映される前に友達から借りたビデオで全部見た気がする。そう、あの時代はテレビを録画したビデオテープを貸し借りする時代だったのだ。

劇中でもシンジがウォークマンで音楽を聞いていたり、公衆電話を使っていたりとSFなのに1995年のノスタルジックな雰囲気を感じることが出来る。街は今の時代で考えても実現出来なそうなほどのオーバーテクノロジーなのにノートパソコンは随分と分厚いなぁなんて思ったり。

また、劇中で赤木リツコがタバコをスパスパと吸っており、司令室にも灰皿が置かれていて分煙と言う概念すらまだ無かった。こう言う節々に20世紀のノスタルジーが味わえるのも面白い。

おっさんの視点で見るシンジ君

アニメで新世紀エヴァンゲリオンを見た当時は確か19才くらいだったので、シンジを見てイライラすることが多かった。なんだこのナヨっちいクソガキは!と。しかし、あれから20年以上もの月日は流れ、おっさんになってから改めて見ると、見え方が全然違う。

まず、第一に14才、つまりリアルで中2のガキをいきなりあんな秘密基地に連れて行って、さあ、このエヴァンゲリオンに乗ってあの使途を倒すのだ!とか言われても無茶振りも大概にせいよと言う感想になる。中2と言えばゲーセンでちょっと年上のヤンキーとかに絡まれただけでビビりまくっちまう、そんなお年頃だ。それをいきなりあんな馬鹿でかい、自衛隊でも全く歯が立たないような使途といきなり戦えと言うのだ。

俺はマジでシンジ君に同情しまくった。
そりゃ無茶だよと。

彼も言っている。
そんな、無理です・・・

そんなシンジ君に向かってミサトさんは事もあろうか
あなた、何しに来たの?と言いだす始末。

酷い、あまりにも酷すぎる・・・

しかし、サードインパクトが起きてしまったら人類が絶滅してしまうのだ。そうなってしまえばシンジ君も結局のところ死んでしまう。だからこそ、ミサトさんも厳しい事を言わなければならないのだ。なんて残酷な世界なのだろうか。

だが、シンジ君は内気でナヨナヨしているとは言え、まだ中2だ。ミサトさんはシンジ君の事をナイーブな子だとか言っていたけれども、強気なやつだってあんな状況に置かれたらいじけちゃうっつーの。

俺も今までシンジはナヨっちくてウジウジしていてええ加減にせーよと思っていた。
だが、しかし、この歳になって改めてエヴァンゲリオンを見るとシンジ君に同情せざるえない。

なんて大変なんだと。

さらに、酷いのはシンジ君の父親である碇ゲンドウだ。
俺もいつの間にか父親になってしまったので特に思うのだが、碇ゲンドウはシンジ君をコントロールするために綾波レイを近づける。これ、若い頃にエヴァンゲリオンを見た時はボーイミーツガール的な羨ましい関係なのだが、歳をとってから見るとこれがどれくらい酷い事か良くわかる。

だって同年代の可愛い女の子が傷だらけになってエヴァンゲリオンに乗っているのに、俺が逃げ出していいのか?って普通の男だったら誰だって思わされてしまう。それがいくら内気なシンジ君であっても、綾波が戦っているのに逃げるわけにはいかない!って言う考えに誘導されてしまう。これ、マジで辛いのよ、逃げ出したいけど逃げられない、どうにもならなくて死地に向かわなければならない。

まるで特攻隊の心境でしょこれ。

それを親父がやるか?
いや、やらなければ人類が滅亡しちゃうからそうせざるえないんだけどね。

なんて過酷な運命なのだろうか・・・

昔はね、子供側の視点でアニメを見ていたんだよ、だけども歳をとるといつの間にか大人側の視点でアニメを見ちゃうんだよね。そうすると全然見え方が違ってきてしまう。

そして最後はヤシマ作戦で終わる訳だけれども、シンジ君がね、嫌々ながらも、なんで俺がってウジウジしながらも、綾波を、みんなを守るために戦うんだよね。理不尽な仕打ちと時代に翻弄された14才の少年が嫌々ながらも最後は綾波やみんなの為に戦うカタルシス。

最後の『笑えばいいと思うよ』

で不覚にもうるっときてしまったよ。

エヴァンゲリオンの主題歌

俺ね、この映画に一つだけ不満があるのよ、やっぱりさオープニングに『残酷な天使のテーゼ』を入れて欲しかったんだよね。
宇多田ヒカルの曲に不満がある訳じゃないんだ、いや、むしろ宇多田ヒカルの歌は最高だったよ、だけどね、やっぱりオープニングに『残酷な天使のテーゼ』が流れたらテンションが上がっただろうなと。
あと、エンディングは宇多田ヒカルの歌でいいからどっかに挿入歌としてちょっとでもいいから『FLY ME TO THE MOON』も入れて欲しかったんだよね。やっぱオリジナルの曲はテンションが上がるよ。

これ、実はZガンダムの時も思ったんだよね、ガクトの歌がダメだった訳じゃないんだけどZはどう考えても『水の星へ愛をこめて』でしょ。

つづく

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の感想
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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の解説と感想

公開日: : 最終更新日:2020/04/27 読書&映画

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