物の価値 | Young Age Vol.26

公開日: インドネシア ヤングエイジ

バタムアイランド

物の価値

2001年7月21日

物々しい警備兵
いたるところに張り巡らされた有刺鉄線。
銃を担いだ兵隊。

道は荒れていた。
川はゴミで溢れていた。
下水道には注射器が落ちていた。

日本も戦後はこんな感じだったのだろうか。
戦争を知らない俺は勝手に想像した。

俺は、日本で携帯電話の販売をしていた。
電気屋さん等の量販店や郊外店に派遣されていた。

物の価値
最近はリサイクル法なるものが出来たらしくTVなどの電化製品を捨てるのにお金がかかる。
俺はこの法律がどう国の為に有効なのか分からない。分かるのはTVを捨てるのにお金がかかるということ。俺が働いていた店のゴミ捨て場には沢山のTVやラジカセ等の電化製品が山積みになっていた。沢山の人が新しいTVを買ってお金を払って古いTVを捨てて帰る。

インドネシアで中古のTVが売られていた
俺が働いていた店のゴミ捨て場程度の作りのお店に沢山の中古のTVが売られていた。見た目は俺が働いていた店のゴミ捨て場と大して変わらない。違うのはTVに値段がついているということだ。

ここで俺は何を思えばいいのだろう?
何を考えればいいのだろう?
俺にはまったく分からなかった。
ただ、ただ、複雑な気持ちになった。

金持ち大国日本
俺は日本人でお金持ちだった。
自分がお金持ちだと感じたのは初めてだった。
多分、日本人は金持ちだろうとは思っていたがここではっきりとその差を感じた。
日本のゴミ捨て場がインドネシアのバタムアイランドではそのままマーケットになる。
つまり日本人が捨てる物すら流通していないということだ。

俺は何を思えばいいのだろう?
何を感じればいいのだろう?

俺はそれを見てここではそういうものだと受け入れることしか出来なかった。
俺はお気楽な旅行者でイデオロギーも目的もない。
ただの旅行者だ。
それでも俺は世界を見ることが重要なことに思えた。

たまたま俺はこの町に足止めを食らった。
暇だから散歩した。
見えないものが見えてきた。
知らないことはいっぱいあった。
急にこの町が興味深くなった。

俺は世界知らずの日本人だった。
小さな事から大きな事まで、世界はワンダーに満ち溢れている。
急激に広がる自分の視野に思考は追いつけない。
いや、思考は無駄だ。
日本の考え方で考えても何も分からない。
この場所はそういう場所だとまず受け入れてからでないと何もわからない。

物の価値、人の価値、全ての価値は絶対的ではなく相対的で時と場所によって決められる、つまりはゴミも商品になる。
俺はそんな当たり前のことを実感した。

あとがき

テレビを見れば沢山の難民やお腹を空かせた子供達、ゴミ山で仕事をする子供達、餓え、戦争、スラム街。
全部ブラウン管の向こうの出来事だ。

日本人がいかに恵まれているのか
日本人がいかにお金もちか

知識としては知っているもののその実感は薄い。

少なくとも俺には、そういう実感がまるで無かった。
若い頃からお金に困り、
やりたくもない仕事に毎日を追われ、
満員電車に押し込まれ、
東京の片隅にある7畳一間のワンルームは駅から徒歩25分。

半、家出状態で一人暮らしをはじめ、
サラ金から金を借り、
家を借りた。

働けど働けどお金はカツカツで、吉牛がご馳走だった。
持ち帰った牛丼に生卵を二つ掛けて食べるのが贅沢だった。

日本社会のド底辺に居た俺は日本社会なんてクソだと思っていた。

これが金持ちのライフスタイルだと?
笑わせるな!

間違っちゃいない。
金持ち大国だなんて言われても、金を持っていなければ日本は住みづらい国だ。
今でもそう思う。

あーしろ、こーしろ、であるべきだ。
働くことを神聖なものとした同調圧力!
常識、常識、常識!

そんなもんがあったらこんな事してねーぜ!

FUCK!

そりゃ、TVやラジカセは持っていた。
なんならMacも持っていたけれども、だからと言って自分が金持ちだとはどうしても思えなかった。

確かに日本には、物が溢れている。
綺麗な街並み、丁寧な接客、便利な24時間営業

でも、俺たちはそのシステムを維持するために過酷な労働と言う対価を払っている。
この生活スタイルが恵まれているとは今でも思えない。

そんなクソッタレのシステムに右手で中指立てても、
ちゃっかり左手でジャパンマネーの恩恵を受けながら旅をしている。

だけど、日本にいた時は完全にこのシムテムに飲み込まれてしまっていて、自分がちゃっかり左手で恩恵を受けている事に気がつけなかったんだ。
何もわかっていなかった。

この旅で初めて、自分がとても裕福で恵まれた環境にいるんだと言うことを実感した。
おかげでちょびっとだけ世界の見え方が変わったんだ。

帰国後にはまたクソッタレのシステムと戦う事になるだけどね。
それでも、世界を少しだけ知ったことによって俺の世界も少しだけ変わったんだ。
旅に出る前とは少しだけ違う自分になれたんだ。

昔の日記を読んで、昔のことを思い出すとどうしてもエモーショナルになっちまう。
すっかり忘れてしまっていたけれども、若き日の俺は社会に打ちのめされながら必死に耐えていた。

悔しくて、悔しくて
何にもうまくいかなくて
それでも前だけ見て、
俺のやりたいようにやるんだって歯を食いしばって生きていたんだ。

やれやれだぜ

公開日: : 最終更新日:2018/11/16 インドネシア ヤングエイジ

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