システマチック | Young Age Vol.05

公開日: ヤングエイジ

システマチック

2001年6月24日

日本では
反町隆史と松嶋菜々子が結婚し
銀さんが108歳で亡くなった

前年度のドラマ、ビューティフルライフの影響で
美容師志望は前年度の2割り増しになり
街をたくさんのTWが走り回っていた。

そんな時代

タイでは
後にクーデターにより亡命する事になる
タクシン・チナワットが首相になり

俺は、スラタニの港で船を待っていた。
楽園行きの船を

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システマチック | Young Age Vol.05

システマチック、オートマチック、
文明がもたらしてくれた物、
物事をスムーズに運んでくれる物、
管理してくれる物、
人々を、都市を、時間で管理してくれる。

東京
システマチックに、そしてオートマチックに人々を管理する大都市。
便利、そして合理的。
それを維持するために莫大な税金がつぎ込まれる。
そこで生まれ育った俺、
それがあたりまえで、それが常識。

俺は船を待っていた。
人生初の南の島、サムイ島を目指していた。
一晩電車に揺られやっとたどり着いたのがスラタニの港。
ここから船に乗っていよいよ夢にみた南の島へと繰り出そうとしていた。

日差しが熱い。
俺はタバコを吹かしながら船を待った。
二時間待った。

しかし、船は一向に来ない。
俺は尋ねた、何時に出発なんだ?

船が来たら出発だ。

男は、何をあたりまえのこと聞いているんだよ?と言いたげな目で俺を見た。

頭を殴られたような衝撃を受けた。

そりゃそうだ、当たり前の事だ。
しかし、俺は唖然としてしまい、返す言葉が見つからなかった。

俺は何がしたかったのだろうか?
船が遅いから文句でも言いたかったのか?

船が来なければ出発なんて出来るわけがない。
それは判るが・・・

東京だとどうだろう?
何時に出発か予定を教えてくれるだろう。
予定より遅れていれば従業員はきっとすいませんの一言くらいは言うだろう。
そして俺は文句の一つでも言っているのかも知れない。

しかし、ここでは船が来たら出発なのだ。
だから皆、船がくるまで待つ。
ただそれだけだ。

俺は地べたにぺたんと座り、タバコに火をつけた。

東京の便利さは過剰なサービスの上に成り立っている。
そのサービスを提供するのは東京に住む俺たちだ。

綺麗で、便利で、快適で、システマチックな世界を維持するために、
俺たちは過酷な労働を強いられている。

日本では船が来なかったら謝らなくてはならないのだろうか?
携帯電話の開通が遅れたら謝らなくてはならないのだろうか?
自分が何をしたわけでもないのに組織に組み込まれた俺たちはひたすら頭を下げる。

普段から人に頭を下げている人々は、他のお店の従業員の粗が目につき、横柄な態度をとる。
それがまわりまわって、自分の首をしめる。

完璧に管理された世の中
人々の良かれと思って、もっと便利にと思って、もっと快適にと思って頑張ってきたことが
人々の首をしめつける。

当たり前の事
当たり前や常識なんてちっぽけな存在は、ほんの一部の世界でしか通用しない。
世界は広くて色々な人がいる。
俺は、ただ船を待つという単純な行為ですら自分の常識で勝手に計り、違う常識に思わず唖然としてしまったのだ。

東京は円滑に動いている。
俺は知らない間にそれが当たり前であると思っていた。

システマチック、
便利と同時に得たものは管理かもしれない。

システムからの開放、
不便と同時に得るものは自由かもしれない。

俺はちっぽけな常識から一つ開放された気がした。

To Be Continued

あとがき

24歳、日本での息苦しさを感じていた俺は、常識という型に押し込まれる事に我慢ならなかった。
そんな俺に携帯電話の販売員と言う仕事はストレス以外の何物でもなかった。

横柄な客にネチネチと文句を言われて、思わず怒鳴りつけてしまった事は一度や二度じゃない。(客が面食らってる間にささっと逃げたので一大事になったことはない)
ある時、嫌味ったらしいクソババアになじられ続け、頭が真っ白になってしまい、危うく手に持っていたボールペンでババアの手をぶっ刺す寸前までいったことがある。俺の人生で人を刺す寸前までいったのは、あの時の一回だけだが流石に自分自身が信じられなくなった。よくTVなどで『つい、カッとなってやった』などという供述を目にするが、人間、間が悪いとそういう事もあり得るのだなと言う教訓になった。

早く仕事を辞めなければいけないと思った。
日本での生活は、常に息苦しかった。

スラタニでの出来事は、後々まで俺の人生観に影響するような出来事だった。
もちろん、この出来事が俺の人生を大きく変える訳じゃない。
だけど、自分の小さな常識が粉々に砕け散った瞬間だったのだ。

窮屈な日本だけが全てじゃない。
目の前には大抵のことはマイペンライの一言で済ましてしまう、タイのゆるい世界が広がっていたのだ。
(大丈夫とか気にするなとか、なんとかなるよ的な意味)

以来、俺の心はゆるい国の住人となり、細かい事にうるさい人は、完全に異国の人だと思いながら接している。(バカしている訳じゃなく、心の国が違えば常識も違うので仕方がないと割り切っている)

ひとり旅だと時間はたっぷりとある。
そんな時、俺は、このような思考?(妄想?)の世界へどっぷりとダイブしている。

妄想はなるべくアウトプットしたい。
そうしないとただ、自分の世界に引きこもっているだけだから。
言葉にすると、文字に起こすと、何らかの形でそれが現実に生み出される。

今じゃ、ヨドバシカメラでサワディカープ、ヨドバシカメラーなんてタイ語のアナウンスが流れるとほっこりした気持ちになるくらいに慣れ親しんだタイだけれど、当時の俺にとってはまだ、びっくりワールドだったんだ。

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公開日: : 最終更新日:2017/11/05 ヤングエイジ

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