長旅を楽しむコツ | Young Age Vol.10
2001年6月28日
旅は最高に楽しかった。
俺は絶好調だった。
ただ、最高の状態というのはいつまでも続くものではない。
より、強い刺激を求めれば次第にダークサイドに落ちて行く。
長旅を楽しむコツはテンションを上げすぎないことだ。
心を落ち着けて、ゆっくりと心地いい幸せをじわじわと感じる。
心をポジティブでもなく、ネガティブでもなく静かにゆっくりと楽しむ。
旅だって、毎日が非日常であれば、それが日常となる。
あまりにもテンションを上げすぎるとちょっとした幸せが感じられなくなり、欠乏感からダークサイドに落ちる。
大切なのは今、自由であることの幸せをじわじわと感じることだ。
だが、24歳の俺にそんな事は無理だった。
ヒャッハー!
今が楽しければいいんだよ
テンションMAX!
最高だぜぇ
長旅を楽しむコツ | Young Age Vol.10
朝、起きるとなんだか体が気だるい。
自分のバンガローの前でボケーっとタバコをふかす。
隣に泊まっている白人も今頃起きてきたらしく
「なんか美味しいところ知ってる?」
と聞いてきたが俺にもわからない。
彼の名前はトニー
なんでも昔、日本で英会話の教師をしていたらしく日本びいきで肩に「闘忍」(トウニン)とタトゥーが入っている。
日本はいい国だ、「シャブ大好き(覚せい剤)」とかいうとんでもない不良ティーチャーだ。
しばらく日本に住んでいたというのに彼の口から出た日本語はシャブと大麻だけだった。
旅先で出会うヒッピーみたいな白人は、アウトローばっかりだが変に粋がったり、尖ったところがあまり無く、みな気のいいやつばかりだった。
しばらくすると、昨日、町であったカズ君が朝飯を誘いに来てくれた。
ロン毛で真っ黒に日焼けしたカズ君はいかにも旅慣れた感じだったが、実は英語がよくわかっておらずグリーンカレーを注文した際に店員の女の子にベリーホット、OK?って聞かれているのにOK、OKと適当に答えていた。
ちょっと心配になった俺は、超辛いって言ってたけど大丈夫?
と尋ねるとマジっすか?ま、平気っすとか言いながら実際にカレーがくると
マジ辛いっす!
マジヤバいっす!
と言い、汗だくでカレーを食べている。
俺も一口もらったが尋常じゃない辛さだった。
先ほどの女の子がそれを見ながらクスクスと笑っている
タイ人はこんなに辛いもの食べるのか?と聞くと
ノォー!ノー!ノー!
と大げさに手を振りながら笑っている。
タイカレーおそるべし。
もちろん、カズ君はこの後、腹を壊すことになる。
カズ君は明日、この島を去るのでその前にバイクを借りて島を一周すると言っていた。
夜にはハーフムーンパーティがあるとの事なので、夜待ち合わせることにして一旦カズ君と別れた。
俺も特にやることがないのでレンタルバイクを借りて島を少しぶらつくことにした。
150バーツでカブが借りられた。
バイクに乗りながら見えるエメラルドグリーンの海は格別だった。
青い空、潮風、ヤシの木、全てが楽園そのもので俺のテンションはいつでもMAX。
別に大したことをしている訳じゃないけれども全てが特別で、全てが最高だった。
あとがき
旅を始めてから約1週間ちょっとが過ぎていた。
全てが新鮮で、全てが楽しくて楽しくて仕方がなかった。
俺は絶好調だった。
だけど、いつまでも絶好調をキープし続ける事は無理だ。
この時はまだ気がつかなかったけれども今にして思えばこのサムイ島が旅のピークだったかもしれない。
この後、だんだん、旅の楽しい以外の側面が見えてくるのだけれども、そういう事も全部ひっくるめてやっぱり初めての旅は最高の旅だった。
2015年から2017年にかけて世界中を旅した際は、このことをよくわかっており、なるべくテンションを上げないで平常で楽しむように心がけた。長旅でテンションを上げすぎると、反動で必ずテンションが下がることをよく知っていたからだ。それとも感受性が落ちたのかある程度の旅の刺激に慣れてしまっていただけかもしれないけど。
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