異国の地を旅するという事 | Young Age Vol.20
写真は2016年に撮影したシンガポールのマーライオン
異国の地を旅するという事
2001年7月17日
旅は順調だった。
タイの首都バンコクに降り立ち南の楽園バリを目指し、俺は陸路で気の向くままに寄り道をしながら南下していた。
最高だった。
楽しくて仕方がない。
クアラルンプールで何日か遊んだ後、Macyと別れ俺は一人、シンガポール行きのバスに乗り込んだ。
ここからの道のりに何も不安はなかった。
バスによる国境越えも二度目だ。
特に不安はない。
案の定何の問題もなくシンガポールへ入国出来た。
しかし
体の調子がおかしい。
気分がえらく悪い。
目が回り、額から嫌な汗が流れ落ちる。
これはまずい・・・
シンガポールは町並みが綺麗だ、だがそれどころではない。
町並みを見て気分転換など出来るほどの余裕はなくなっていた。
次第に俺はバスの中でうずくまっていった。
もうフラフラだった。
何がなんだかわからない。
運転手がバスを止めシンガポールに着いたと告げる。
旅行者達がぞろぞろと降り始める。
ここは何処だ?
シンガポールなのはわかる。
だが何処なんだ?
アジアの国々では往々にしてバスから降りたあと、自分で場所を確認してそこから自力で宿を探さなきゃならない。とにかく降りなきゃしょうがない。
立ち上がった。
ヤバイ、思った以上に具合が悪い。
まともに歩けない。
何とかバスから降りた。
俺は二歩か三歩、歩いてその場にゲロをぶちまけた。
ヤバイ!!
この国はシンガポール。
確かゴミ捨ては罰金や鞭打ちの刑だ!!
鞭打ちだけは勘弁・・・
俺は半泣きでその場にある自分のゲロをかたづけた。
それがよくなかった。
俺は自分のゲロに酔ってせっかくかたづけた場所にもう一回吐いた。
泣きそうだった。
うぅ、、、
鞭打ちは勘弁・・・
すでに俺は若干パニックになっていた。
冷静に考えれば先進国のシンガポールで具合が悪くてゲロ吐いたからって鞭打ちにはされないだろう。
ただ俺は突然の具合の悪さからかなり弱気になっていた。
だから何故か鞭打ちの刑が恐ろしかった。
今にして思えば馬鹿な話しだ。
いったいここは何処なんだ!?
とにかく寝たかった。
これがシンガポールでなければそこらへんのホテルに泊まっただろう。
しかし、よりによって先進国のシンガポール。
この国でそんなことすれば平気で一万や二万なくなるだろう。
一日で治ればいいが下手な所に泊まって動けなくなってしまったら旅の資金は底を尽き、俺の旅は途中で終わる。
それだけは避けたかった。
俺はその場に横たわり解決作を思案した。
しかし、体調が悪いというのはなんと辛いことだろう。
頭がとにかく働かない、英語もさっぱり聞き取れない。
とにかく地図を開き現在位置を確認した。
ダメだ
さっぱりわからない・・・
近くの人に聞いた。
わからない。
もはや体力の限界だった。
ちょうどその時、俺が横たわっていた所の前の店?ホテル?の定員らしき人がタクシーを捕まえてくれた。
親切でしてくれたのか迷惑だから追い払われたのかわからない。
ただ助かった。ホントに助かった。
ものすごく他人の親切がありがたかった。
もう成行きに任せタクシーに乗った。
ありがたいことにタクシーはちゃんと安宿に連れて行ってくれた。
シンガポールは東京に似た感じの町だ。
他のアジアの国々とは違った感じのする町だ。
人々は東京ほどでないにしろ他人に無関心。
何処か分からぬ異国の地に放り出され右も左も分からず旅をする。
それがどういうことなのか初めてわかった気がした。
あとがき
俺は旅に出てからと言うもの、約一ヶ月の間、ずーっとハイテンションだった。
楽しくて楽しくて仕方がないと言う感じだ。
アドレナリンがドバドバ出まくりの最高にハイってやつだ。
気がつかないうちに疲労が溜まっていたのだろう
そんな時に、高速の休憩所で食べたぶっかけ飯があたったのだ。
この時はマジで辛かった。
右も左もわからない遠い異国の地で動けなくなる。
今だったらiPhoneでGoogle Mapを開けば現在地がわかる。
しかし、2001年当時は心許ない紙の地図があるだけだ。
自分が何処にいるのかすらわからない。
それがどれだけ心細いことか身に染みた。
シンガポールは物価が高い。
タクシーで連れて行ってもらった安宿のドミトリーですら23シンガポールドルもした。(1700円位)
これを機に、楽しいだけじゃない旅のハードな一面を知る事になる。
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