イランの世界遺産、一覧 全17カ所のリスト
イラン・イスラム共和国にある世界遺産は2014年に『シャフリ・ソフタ』が追加されて全部で17件。超大国ペルシャ時代からモンゴル時代、イスラム時代まで、数多くの歴史ある遺跡が沢山ある、見所の多い国で、周辺国家に多大な文化的影響を与えた。上の写真は世界遺産『ペルセポリス』
チョガ・ザンビール
世界でもっとも保存状態が良いと言われるピラミッド状の神殿塔、ジグラト
1979年、世界文化遺産に登録 / (iii)(iv)
チョガ・ザンビールは紀元前1250年頃に古代エラム人がフーゼスターン州に作った複合遺跡で、もっとも保存状態の良いジッグラトとして評価されイランで初めて世界遺産に登録された。ピラミッド状の神殿塔(ジグラト)などが見所。アクセスはバスやタクシーなどで行く事が出来るようだが帰りの交通手段が無いそうなので、帰りの手段が確保されている現地のツアーなどで行った方が良いとの事。
ジッグラト(ジッグラトまたはジグラート)とは
ジグラトとは、日乾煉瓦で数階層に組み上げて建てられた聖塔で、「高い所」の意味。古代メソポタミアで紀元前5000年頃から建設されたと言われている。
ペルセポリス
アレクサンドロス大王に滅ぼされたペルシア帝国の都
1979年、世界文化遺産に登録 / (i)(iii)(vi)
ペルセポリスは、アケメネス朝ペルシア帝国の都でダレイオス1世が紀元前518年に建設した宮殿群の遺跡で紀元前330年にアレクサンドロス大王が率いるマケドニア軍によって焼き払われる。この遺跡は旅人たちの間でヨルダンのペトラ遺跡、シリアのパルミラ遺跡と並んで西アジア三大遺跡のひとつと言われている。全部見て回りたい所だが、昨今の情勢ではシリアのパルミラ遺跡に行く事は絶望的だ。アクセスはシーラズからタクシーで約1時間半
アレクサンドロス大王については俺の大好きな歴史漫画『ヒストリエ』がおすすめ。
漫画ペルセポリス、1970年から1990年のイランで育った自身の半生を漫画化した作品。
イスファハンのイマーム広場
コーランの天国を模して造られた楽園
1979年、世界文化遺産に登録 / (i)(v)(vi)
17世紀に造られた王都で、コーランの天国を模して造られた楽園でアラベスク模様のタイルで覆われた荘厳なモスクや宮殿の美しさから『イランの真珠』の異名を持つ。イランの近世イスラーム建築を代表する傑作と言われ、シェイフ・ロトフォッラー・モスクやダールワーザ・イ・カイセリーヤ、アーリー・カープー宮殿などが見所となっている。「イスファハンは世界の半分」とまで称されるほどの繁栄を誇った。
タハテ・スレマーン
「拝火教」とも呼ばれるゾロアスター教の聖地跡
2003年、世界文化遺産に登録 / (i)(ii)(iii)(iv)(vi)
西アゼルバイジャン地方タカブ村北東にある主に13~14世紀にかけて建てられたササン朝ペルシア、イル・ハーン国時代の遺跡。タハテ・スレマーンの意味は「ソロモン王の王座」。神秘的でキレイな湖があり、ゾロアスター教の遺跡が残っている。
アクセスは首都テヘランからザンジャーンまではバスで約4時間、ザンジャーンからタクシー。(ザンジャーンは世界遺産『タハテ・スレマーン』と世界遺産『ソルターニーエ』へ行く為の拠点のとなる街。)
タハテ・スレマーンへ行った方のブログ(写真あり)
http://enjoy.sekaiisan-yay.jp/archives/2009/11/86-1.php
パサルガダエ
ペルシャ帝国の最初の首都
2004年、世界文化遺産に登録 / (i)(ii)(iii)(iv)
ファールス州にあるパサルガダエは紀元前546年から建設された古代ペルシャの都市で、ペルシャ帝国の最初の首都。アケメネス朝ペルシアの創始者で、「バビロン捕囚」を解放したキュロス2世の墓がある。その他の見所は『宮殿跡』、『ナグシェ・ロスタムのゾロアスター教神殿』、『ソロモンの玉座』など。
アクセスは世界遺産『ベルセポリス』と同じ、シーラーズからタクシーなど。
バムとその文化的景観
粘土と日干しレンガで造られた巨大なバム要塞
2004年、世界文化遺産に登録 / (ii)(iii)(iv)(v)
イラン高原南端、ケルマン州に粘土と日干しレンガで16~18世紀頃に造られた巨大なバム要塞(アルゲ・バム)。2003年12月26日に襲った地震で甚大な被害を受け2004年にバムは世界遺産に緊急登録され、同時に「危機遺産リスト」にも登録された。
下記のサイトに倒壊前の遺跡の写真と倒壊後の遺跡の写真が載っている。
http://dsr.nii.ac.jp/bam/
ソルターニーエ
後のイスラム文化に多大な影響を与えたオルジェイトゥ廟
2005年、世界文化遺産に登録 / (ii)(iii)(iv)
ソルターニーエは、ザンザーン州東部にあるモンゴル帝国のイルハン朝によって建設された都市遺跡。中でも有名なのがオルジェイトゥ廟で、1302年〜1312年に掛けて建造され、後のイスラム文化に多大な影響を与えた。これは世界最古のもので、1632年〜1653年に掛けて建てられたインドの有名な世界遺産『タージマハル』などもオルジェイトゥ廟の影響を受けて建てられた。
アクセスは首都テヘランからザンジャーンまではバスで約4時間、ザンジャーンからタクシー。世界遺産『タハテ・スレマーン』も近くにあるのでザンジャーンを拠点として一緒にまわりたいと思う。
ビソトゥーン(ビーソトゥーン)
世界最大の帝国を築いて大王と呼ばれていたダレイオス1世の磨崖碑
2006年、世界文化遺産に登録 / (ii)(iii)
ケルマーンシャー州にあるビソトゥーンはペルシャとメソポタミアとを結ぶ古代の交易ルートにあり、先史時代から発展した場所で先史時代からメディア王国、アケメネス朝、ササン朝ペルシア、14世紀のイル・ハン朝までの遺跡が残っている。中でも紀元前521年にアケメネス朝ペルシアの王に即位したダレイオス1世の即位の経緯とその正当性を主張する文章とレリーフを高さ70メートルの断崖に刻んだ巨大な磨崖碑が、特に重要な遺跡と言われている。この碑文にはゾロアスター教が国の権威であることが示されている。(ダレイオス1世は当時世界最大の帝国を築いて大王と呼ばれていた。)
アクセスはオルーミーイェからバスで約10時間
イランのアルメニア修道院群
世界で最初にキリスト教を国教としたアルメニア人が建設した修道院群
2008年、世界文化遺産に登録 / (ii)(iii)(vi)
イランのアルメニア修道院群とは、世界で最初にキリスト教を国教としたアルメニア人が建設した修道院群で聖タデウス修道院(西アーザルバーイジャーン州)、聖ステファノス修道院(東アーザルバーイジャーン州)、生神女マリア聖堂から構成される世界遺産。(動画は聖タデウス修道院)
シューシュタルの歴史的水利施設
紀元前5世紀に創建された水利施設
2009年、世界文化遺産に登録 / (i)(ii)(v)
シューシュタルの歴史的水利施設はフーゼスターン州にある紀元前5世紀に創建された、塔、ダム、橋などで構成される世界遺産で古代イラン人の卓越した技術力が評価された。(世界遺産『ビソトゥーン』の磨崖碑で有名なダレイオス1世の時代)その一部は現在でも農業用水として使われている。
アルダビールのシェイフ・サフィー・ユッディーンの修道院と聖者廟複合体
シャイフ・サフィーユッディーンの聖廟
2010年、世界文化遺産に登録 / (i)(ii)(iv)
16世紀〜18世紀末にイスラム神秘主義(スーフィズム)の隠遁所として建てられた場所で、現在のアルダビール州アルダビールにある廟建築。アルダビールとはゾロアスター教の聖地「アルタヴィル」に由来すると考えられている。1334年にシェイフ・サフィー・ユッディーン廟が建設された。
タブリーズの歴史的バザール複合体
中東最古のバザール
2010年、世界文化遺産に登録 / (ii)(iii)(iv)
『タブリーズの歴史的バザール複合体』は東アゼルバイジャン州のタブリーズに古くからあるシルクロードの重要なバザールで、13世紀には周囲に知られるほど繁栄してた。また、タブリーズはペルシャ絨毯の名産地として有名。
ペルシャ庭園
イラン国内にある9つの庭園
2011年、世界文化遺産に登録 / (i)(ii)(iii)(iv)(vi)
イラン国内にある9つの庭園が世界遺産として登録された。パサルガダエにある『パサルガダエ庭園』、シーラーズにある『エラム庭園』、エスファハーンにある『チェヘル・ソトゥーン庭園』、カーシャーンにある『フィン庭園』、ベフシャフルにある『アッバース・アーバード庭園』、マーハーンにある『シャーザデー庭園』、ヤズド州にある『ドーラト・アーバード庭園』、メフリーズにある『パフラヴァンプール庭園』、ビールジャンドにある『アクバリーエ庭園』。また、国外でもインドの「フマーユーン廟」や「タージ・マハル」、パキスタンの「シャーラマール庭園」などのペルシャ庭園が世界遺産として登録されている。
ゴンバデ・カーブース
世界で最も高いレンガ造りの塔
2012年、世界文化遺産に登録 / (i)(ii)(iii)(iv)
ゴレスターン州のゴンバデ・カーヴースにある高さ53mの世界で最も高いレンガ造りの塔で、ペルシア・初期イスラム・アジア遊牧民の文化が融合した傑作と言われている。この塔は1006年、ズィヤール朝時代に建てられ1000年以上もその姿をとどめている。
イスファハンのジャーメ・モスク
イスファハンでもっとも古いモスク
2012年、世界文化遺産に登録 / (ii)
771年に建築されたイスファハンでもっとも古いモスクで「ジャーメ」は「金曜日」、つまり金曜日モスク(その都市で最も格式の高いモスクを指す)と言う意味。世界遺産『イスファハンのイマーム広場』と合わせてまわりたい。
ゴレスターン宮殿
首都テヘランにあるガージャール朝の王宮
2013年、世界文化遺産に登録 / (ii)(iii)(iv)
ガージャール朝の王宮として建てられたゴレスターン宮殿は「バラの園」という意味で、ペルシャの伝統とヨーロッパ文化が融合した美しい宮殿と博物館、美術館、ホールなど8つの重要な建築物と大きな庭園がある。場所は首都テヘランにある。
シャフリ・ソフタ
紀元前4千年紀後半~前3千年紀の遺跡
2014年、世界文化遺産に登録
シャフリ・ソフタは2014年に新しく登録された世界遺産で、シースターン地方,ヘルマンド河畔にある青銅器時代の遺跡。シャフリ・ソフタとはペルシャ語で『焼失の町』を意味する。
ユネスコのフォトギャラリーからシャフリ・ソフタ遺跡の写真を見る事が出来る。
http://whc.unesco.org/en/list/1456/gallery/
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