プランバナン寺院群(インドネシアの世界遺産)| Young Age Vol.33

ジャランジャクサ

2001年7月25日

早朝、ジョグジャカルタに着いた俺は、人力車に乗ってウィスマカジャゲストハウスと言うところに連れて行ってもらった。
そのゲストハウスは小さいがプール付きでホットシャワーも出るし、なんと冷房付きだ。しかも料金はわずか800円程度。

即決だった。
今までに泊まった宿の中でダントツで一番良い。
猫足のバスタブまで付いている。
かなり疲れていたのでゆっくりとバスタブに浸かり、一眠りする事にした。

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プランバナン寺院群 (古マタラム王国)

英名:Prambanan Temple Compounds

プラバナン寺院は10世紀頃、古マタラム王国のバリトゥン王による建立と言われ、1549年の地震で遺跡のほとんどが崩壊した。
1937年から遺跡の修復作業が行われインドネシア最大級のヒンドゥー教の遺跡として1991年に世界文化遺産に登録された。

ボロブドゥル寺院遺跡群と同じジョグジャカルタにある世界遺産だがボロブドゥール寺院遺跡群はヒンドゥー教ではなく仏教寺院。

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この頃、まだ世界遺産ハンターではなかった俺は、観光地などに全く興味がなかったのだが目が醒めるとまだ、昼前だった。
体力も回復した事だし、せっかくなので近くにある世界遺産、プランバナン寺院群を目指す事にした。

ジョグジャカルタには、あの有名なカンボジアのアンコールワットに匹敵すると言われる遺跡がある。
それが世界遺産、プランバナン寺院群とボロブドゥール遺跡だ。

俺の泊まっていたゲストハウスからプランバナン寺院群までは1時間くらい。

タクシーで行くのはちょっと贅沢かと思いローカルバスを使ってみることにした。
ゲストハウスのフロントでバス停を聞いてバス停へ向った。
ゲストハウスを出るとベチャ(自転車タクシーみたいなもの)のオヤジが声を掛けてきた。

『ローカルバスはスリとか沢山いて危ないぜ』

そう言われるとバタムアイランドの事を思い出す。
俺はこいつの言うことももっともかもなと妙に納得してしまった。

『プランバナン寺院を10000Rp(1ドルちょっと)で俺がガイドしてやるよ』
『俺と一緒ならバスで行っても平気さ』

確かに、多少の金額をケチってスリやひったくりにあったら元も子もない、現地人と一緒だと強引にお金を取られるような危険は、格段に減る気がした。バタムアイランドでの経験から多少の金額だったら安全は金で買ったほうが安いと思っていたのでこのバリと言う男を信じて人力車に乗り込んだ。

バス代はバリの分も掛かるので2倍だがそれでもわずか数十円と激安。
ただし、日本だったら確実に廃車と言うボロボロのバスでドアはすでに壊れて取れていたし、窓ガラスもほとんど無かった。

でも、まあ何とか走るみたいだ。

バスは激混みで現地の人々はバスの中で平気でタバコを吸うしカオスそのもの。
地元民は取り合えずバスに乗ったら一服とでも言わんばかりにタバコを吸い始める。一瞬カルチャーショックを受けるが俺も皆にならい取り合えず一服。
ま、窓も無いし丁度いいのかなコレで。インドネシア人はガラムが好きだ。ガラムの甘い匂いとともにバスは走り出す。

ここら辺のバスはギターを引きながら歌ってる若い奴等が必ず乗っている。俺はこいつらが好きだった。物乞いでもなく無理に金を要求することも無く好きなことをやりながら演奏後、小銭を集めて回っている。小銭を渡すと嬉しそうに『サンクス』といい爽やかに去っていく。ライフスタイルがさりげなく自由でCoolだ。だから俺はこいつらにはいつも手持ちの小銭を差し出していた。

バスを降りるときも一苦労だった。
カオスのような人混みをかき分け、もみくちゃにされながらなんとか降りようとする俺、無理やり乗り込んでくるババアと格闘しながらすでにゆっくり動いているバスから飛び降りた。
俺一人だったら降りるタイミングを逃していたかもしれない。

確かにこのバスに一人で乗っていたらカモだとみなされ狙われた可能性はある。
降りるときにもみくちゃにされひったくられてもどうすることもできない。
バリと一緒で良かったと思った。

プランバナン寺院群は確かに凄かったがとにかく暑くて観光どころでは無かった。
夕方になってやっと観光を楽しめた。

遺跡の細かいところを見るよりも俺は遺跡を散歩する方が好きだった。
俺にはこの遺跡がどういったものなのかと言う知識もなければ、興味すら大して無かった。

それでも凄い物をみながら散歩するのは単純に楽しかった。
俺の冒険の1ページ、こんなところまで来ちゃっている俺ってイカしている。
ただ、それだけの為の観光。

でも、バリは違う。
生きるために真剣に働いている。

インドネシア人、バリ
44才
好きなタバコはガラムで英語はそれなりに話せる
二人の息子がいて一人は俺と同じ年くらいでホテルで働いているそうだ。
月収が2万円くらいしか無く、生活が厳しいそうだ。

二人目の息子が生まれた時は出産費用が無く、金目のものと自分のベチャ(人力車)を売り払って出産費用に当てたそうだ。だから今のベチャはレンタルなんだと言っていた。

聞けば聞くほどこの国の貧しさを知り、気持ちが落ち込んでいく。
だからって俺にはどうする事も出来ない。

この話が全部作り話で俺から金を巻き上げる為のものだと思いたい。
もし、仮にそうだとしても話の大枠の部分は本当なんだろうなと思う。
それくらいに日本とインドネシアには経済格差があるのは事実だ。

これでうまいもんでも食えよと1000円くらい渡せば良かったのだろうか?
それは俺のエゴなのではないだろうか?
それでも彼は確実にその1000円で生活は少し楽になるだろう。

俺はどうすれば良かったのだろうか?

あとがき

旅をしていると経済格差を感じることは多々ある。
今だってそうだ。
41歳になった今でも答えはわからない。

その時、その時、自分の思ったように対応するしかない。

この時、俺は結局、何もしなかった。
勿論、ガイド料は払ったし、チップも少し多めに渡した。
ただそれだけだ。

そして、今でも、これからも同じような対応をして行くと思う。
今は経済的余裕がこの頃よりもあるからチップが多めになったり、多少ならボラれていると知っていてもそのまま払うと思うけれども基本はそんなに変わらない。

何か、金銭以外で歌だったり、ダンスだったりマジックショーだったりと人を楽しませるスキルがあったらいいなと思うけれど、わざわざ練習しようとまで思わないあたりが俺の半端者さを表している。

でも、いいんだ。
だってそこまで人の事に気を使いたいくないもん
俺が他人にしてやれるのはほんのちょっとの事、危害を加えたくはないが、わざわざ人助けをしたいと言う気持ちがない。

それが等身大の俺って奴だから無理はしないぜ!

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公開日: : 最終更新日:2018/11/18 インドネシア ヤングエイジ 世界遺産

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