海外旅行に潜む危険な罠 | Young Age Vol.18
写真は全く関係ないけれども、メキシコの人類学博物館
海外旅行に潜む危険な罠っぽい画像でしょ?
2001年7月
俺はマーシーと安宿をシェアしながら4日ほどクアラルンプールに滞在していた。
ペナン島から一週間くらいマーシーと旅をしていた訳だが俺たちは基本的にひとり旅だ。
一緒に行動するときもあるが基本的には各々好き勝手に観光している。
4日もいればクアラルンプールにもだいぶ慣れてきて、パチモンのTシャツを買ったり、バッタもんや海賊版のCDを物色したりしながら街を徘徊していた。
宿に戻れば各々の1日を語り合う、そんな日々だった。
旅に潜む危険な罠
ある日、マーシーがこんな事を言ってきた。
今日知り合った人でさ
今度、日本に留学する娘さんが居るから是非、家に遊びにきて欲しいって言うんですよ
だから明日、その人の家に遊びに行くんですよ
おい!ちょっと待て!
そりゃ、詐欺だよ
マーシーの持っていた地球の歩き方に書いてある旅の注意事項の項目を指差して
ここにちゃんと書いてあるよね?
よく読んで!
今度、日本に留学する娘さんが居るから是非、家に遊びにきて欲しいって言われ、ついていったところポーカーをしようと誘われ、絶対に勝てるイカサマをしようと持ちかけられ大金を巻き上げられる、もしくは睡眠薬入りの飲み物を飲まされ、身ぐるみ剥がれる。
このような事件が多発しています。
マーシー、残念だけれどもその話、ここに書いてあるまんまの手口でなんのオリジナリティも感じられないよ
実のところ、バンコクの街をぶらついていた時に出会った女の子がそのまんまの手口でハメられて、クレジットカードで現金20万円分くらいやられてしまったと言って落ち込んでいた。真面目そうな旅慣れていない感じの子で、一人で不安そうにしていたけれども、もうすぐ帰国だと言っていたし、現金も帰りの航空券も持ってるみたいだったから適当に話した後、すぐに別れた。
それだけじゃない
ハジャイで会ったアキラさんも昔、マニラで同じような手口でフィリピン人の家に行ったらしいがちょっとやばい雰囲気を感じたので、散々勧められたけど飲み物には一切、手をつけなかったそうだ。しかし、メロンは流石に大丈夫だろうと思って手をつけたところ、しばらくして意識を失ってしまった。
タクシーの運転手に起こされると自分が泊まっていたホテルの前だったそうだ。
財布の中にはタクシー代だけ残されており、貴重品は全てやられてしまったらしい。
まぁ、でもホテルまで送り届けてくれたし、タクシー代を残してくれるあたりに優しさを感じたよ
ははは
と笑っていた。
確かに、凶悪犯でなかったのは不幸中の幸いだ。
ここまで、わずか一ヶ月足らずの旅の中で、まさにこの地球の歩き方に書いてあるまんまの手口にやられている人に二人も遭遇している。
マーシー!これは絶対にやばいって!
俺は必死に止めた。
これらの事例を話て必死に説得した。
しかし、マーシーこう言った。
『俺、自分の感を信じてみます!』
オーッ!ノーッ!
でも、仕方がない
旅は自己責任
俺に止める権利はない。
それにマーシーは俺なんかよりよっぽど旅慣れている。
実際問題、旅には素敵な出会いもあるし、危険かどうかは己の感に頼るしかないのも事実である。
十中八九やばいと俺は思うのだけれども、もしかしたらマーシーなら大丈夫なのかもしれないとも少しだけ思った。
翌日、マーシーを送り出した後、俺はクアラルンプールの街をブラついていた。
全然、楽しくない。
やっぱり俺も一緒に行けばよかったかな?
でも、一緒に行ったところで荒事になれば俺じゃ役に立たないし
二人で身ぐるみ剥がされてもしょうがないし
てか、俺、そんな危険なとこ行きたくないし。
とりあえずマーシーもパスポートなどの貴重品は持って行かないようにしているし、お金も少なすぎるとあれだけど万が一の時は取られてもいいようにセットして警戒を怠らない覚悟で望んでいるので大丈夫だと信じて待つしかなかった。
宿に戻るとマーシーが部屋にいた。
おおー!
マーシー!
よかった!
大丈夫だったの?
いや、全然大丈夫じゃなかったっす
案の定、ポーカーに誘われ、コーヒーを勧められ、マジでやばかったっす。
コーヒーは軽く口をつけただけでまったく飲まず、ポーカーの誘いも断り続けなんとか振り切って帰ってきました。
かなりどんよりと落ち込んでいた。
信じていたんだけどな・・・
と、ボソリと言う。
やっぱりかー!
でも、その状態からよく無事に帰ってこれたよね
やっぱマーシーはすげーわ
あとがき
地球の迷い方などと揶揄される地球の歩き方だが、俺的には一通り『旅の安全情報』の項だけは読んだ方がいいと思う。実際問題、この項に書かれているそのまんまの手口にやられてしまう日本人は多く、俺も実際にそう言う手口にやられてしまった沢山の日本人に遭遇している。
そのほかのケースでは、大麻などの売人が悪徳警官とグルになっていて、購入した後に踏み込まれ多額の賄賂を請求されるなど。俺が実際にパンガン島であった奴は、カオサンで大麻を購入して部屋で吸ってたら警察に踏み込まれて賄賂を20万円払わされてしまったのだと言っていた。彼は全く懲りておらず、あの時はまいったよとジョイントを吸いながら話してくれた。
俺は、この後登場する、日本の友人スィゲとバリ島で落ち合う約束をしてたのだが、彼も数年後、バンコクで見事にこのポーカー詐欺に引っかかり決死の脱出を試みることになるのだが、この時はまだ、未来に起こる出来事を知る余地もない。
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