クルシュー砂州 | ロシアとリトアニアをまたぐ世界遺産

クルシュー砂州
英名:Curonian Spit
2000年、世界文化遺産に登録
クルシュー砂州は、バルト海とクルシュー・ラグーンを隔てる全長98kmの細長く湾曲した砂州で、植林などをおこなって浸食を食い止めて砂州を守り続けた文化的景観が評価され文化遺産として世界遺産に登録された。北側の約半分がリトアニア領で南側の半分がロシア領となっている。
リトアニア側のアクセスはクライペダの町からフェリーに乗って約5分。料金は往復で一人0.8ユーロ。クライペダへはヴィルニュスやラトビアのリガからバスが出ている。

フェリーの時刻表
クライペダからフェリーに乗って対岸へ渡るとSmiltynėと言う町に着き、そこから歩いて砂州へと行くことが出来る。また、この町からバスで南へ南下してロシアとの国境付近の町、ニダまで行くことが出来る。

Smiltynėからニダまでのバスの時刻表
Smiltynėからニダまではバスで約1時間、料金はひとり3.4ユーロ。
俺たちは二日に分けてSmiltynė付近の砂洲とニダ付近の砂洲を探索した。
Smiltynė付近のクルシュー砂州
フェリーを降りるとすぐに気持ちの良さそうな小さい丘があり天気がよければピクニック気分でかなり楽しい。

俺たちが行った日はあいにくの曇天だったけれども。

丘を越えるとこれまた気持ちの良い、林の中を通る道があり森林浴を楽しみながら砂洲を目指す。

遂にクルシュー砂洲に到着。あれ?ただのビーチじゃない?

見た目は完全にロングビーチでこの綺麗な砂浜が約98kmにわたって続いている。今は10月のオフシーズンだから人が殆どいないけれども夏はきっとビーチとして賑わうのだろう、きっと。
信じられない事にこの寒空の下で泳いでいるヨーロピアンが数名いた。やっぱり白人は基本的に体温が高く寒さに強いのかもしれない。

このビーチと砂の丘を隔てるのはちょっとづつ生えている草、これらの草の向こうに林が広がっている。一時は砂洲自体が砂に飲み込まれそうになったそうだが人々の努力によって森林を再生し砂漠化を食い止めた戦いの歴史が評価されてユネスコの世界遺産になったそうだ。

秋の曇天も暗黒大陸みたいでなかなか良い。曇天のキジ島に行って以来、天気は神様の贈り物と思い、どんな天気でも俺たちがその場所に辿り着いた時の天気を楽しんで写真を撮る事にしている。

砂洲(ビーチ)を抜けると森林になる。

10月のクルシュー砂州は閑散としていたけれども人が殆どいない為に貸し切り状態で気持ちの良い場所を散歩出来たのでとても良かった。他のシーズンはどうだか分からないけれども10月の上旬は空いているので結構良かった。
ニダ付近のクルシュー砂州
次の日、俺たちはSmiltynėからバスに乗ってニダにやってきた。
ニダの町は完全に観光地で物価も高そうだ。ただ俺たちが来た時はオフシーズンの為、閑散としておりお店も殆ど営業していなかった。

ニダの教会。やたらとモダンでオシャレでかっこ良かった。

この日も相変わらずの曇天だったがニダでも森林を抜け砂洲を目指す。20〜30分歩いて砂洲に辿り着くと相変わらずのビーチ。Smiltynėとあまり変わらない。

誰かが流木で作ったオブジェ。

ほとんど誰もいない砂浜が延々と続いている。このまま南の方へ歩いて行けば遠くに見えるのはロシアの飛地、カリーニングラードだ。

ロシアの国境を歩いて渡れるのじゃないか?と思うくらい誰もいない。殆ど国境付近まで歩いてきたけれども別に国境を渡りたい訳でもないし、下手に国境を越えてトラブルにあうのはごめんだから引き返してきた。

このビーチを隔てる草の丘が砂漠化の進行を食い止めているのだろうきっと。この草の丘の土はもちろん砂でちょっと掘るとすぐ砂になる。雑草は本当に生命力が強い。

延々とこのような風景が98kmほど続いている。
それが世界遺産『クルシュー砂州』。
俺たちはオフシーズンの10月に行った為に荒涼としたビーチと森林でたった二人だけで独占しているような気分になれた。人があまりいない場所と言うのは広々としていてとても良い。
マイナーな世界遺産だけれどもかなり楽しかった。
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