大政奉還が行われた二条城 | 世界遺産『古都京都の文化財』その13

龍安寺を出た後、預かっていてもらった荷物を取りに仁和寺へ戻り、二条城を目指す。仁和寺から二条城は約7キロ程度で前日に仁和寺へ向かったときはやや上り坂で疲労も溜まっていたので40分位掛かったのだが帰りは下り坂で、道もわかっていたので30分も掛からずに二条城まで辿り着いた。
心配していた雨も降る事は無く、あれ?こんなに近かったっけ?と思うほど楽勝の道のりだった。
二条城は大政奉還が行われた場所で明治維新のクライマックスとも言うべき場所。特に司馬遼太郎の『龍馬が行く』やNHKの大河ドラマ『龍馬伝』では一番の見所でもある、京都の楽しみの1つである坂本龍馬、縁の地で世界遺産でもある二条城は、もっとも楽しみにしていた世界遺産の1つ。そして長かったようで短い京都・奈良の旅、最後の目的地。
ちなみに井上先生の名作『バガボンド』で宮本武蔵が吉岡一門との死闘の後に捕われていた城は二条城である。時代背景からすると出来立ての頃の二条城と言う事になる。
二条城(にじょうじょう) 江戸時代の始まりと終わり

二条城は江戸時代のお城で城跡全体が国の史跡、二の丸御殿(6棟)が国宝、22棟の建造物と二の丸御殿の障壁画計1016面が重要文化財、二の丸御殿庭園が特別名勝に指定されている。
1601年、関ヶ原の戦いで勝利した徳川家康は二条城の築城を決め、1603年に完成する。1603年、伏見城において征夷大将軍補任の宣旨を受け完成したばかりの二条城で「拝賀の礼」を行い、この時から始まった江戸時代は265年間繁栄した。その後、最後の将軍、徳川慶喜が大政奉還を行い、江戸時代が終わりを告げたのもこの二条城。
ただし、城といっても天守閣が残っていない為、あまり城っぽくは無い。実は前日、清水寺へ行く前に一度、二条城に来ているのだが火曜日だった為に入城する事が出来なかった。火曜日はお休みなので気をつけた方が良い。
開城時間:8:45~16:00(閉城は17:00)
休城日:毎年12月・1月・7月・8月の毎週火曜日(当該日が休日の場合は、その翌日)
入城料金:一般 600円 中学生・高校生 350円 小学生 200円
駐輪場:200円
住所:京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
最寄り駅:京都市営地下鉄東西線「二条城前駅」
元離宮二条城公式ホームページ
http://www.city.kyoto.jp/bunshi/nijojo/
唐門(からもん)

今回の京都・奈良の旅では比較的、古くて渋い建物が多かったが二条城の唐門は派手で見栄えのする門だった。造り的には同じ江戸時代に造られた日光の世界遺産『日光の社寺』を思い出すデザインだった。

この五日間で20カ所近くの建物をまわっているので、今まで寺も神社もみんな同じようなデザインだと思っていたのだが、少しだけ違いがわかるようになってきたような気がする。
二の丸御殿

唐門を入ると豪華な江戸時代の武家風書院造りの建物、車寄(くるまよせ)、遠侍(とおざむらい)、式台(しきだい)、大広間(おおひろま)、蘇鉄の間(そてつのま)、黒書院(くろしょいん)、白書院(しろしょいん)の6棟が立ち並んでいて、その広さは建物面積3,300平方メートル、部屋数33、畳は約800畳。
内部の畳の部分にはに、それらしい人形が配置されていて音声ガイダンスで当時の様子を説明してくれるので、江戸時代には決して入る事は出来なかったであろう徳川家の様子がうかがえる。エンターテイメントとしても十分に楽しめる世界遺産だった。
鴬張りの廊下(うぐいすばりのろうか)
内部の床は歩くと軋んで音が鳴るのでずいぶん軋んでいるな〜と思っていたらなんと、わざとウグイスが鳴いたような音を立てる造りになっているそうだ。夜間などに侵入者があればすぐに分かる警報装置のような役割もあったとか。
RECOMMEND 二条城を参照
http://micro.rohm.com/jp/rohm-saijiki/nijoujou/4_recomend/recommend_01.html
明治の頃の二条城

wikipediaにあったパブリックドメインの明治の頃の二条城の写真。
二条城の庭園 二の丸庭園、本丸庭園、清流園

二の丸御殿を抜け、二条城の庭園入り口に見事な松が生えていた。

松の前に置かれた2基の釣鐘は、二条城と京都所司代しょしだいとの連絡用に使われた鐘だそうだ。

二条城には江戸時代につくられた二の丸庭園、明治時代につくられた本丸庭園、昭和時代につくられた清流園の3つの庭園があり、2005年、米国の日本庭園専門誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』で、日本全国693カ所の中で清流園が5位、二の丸庭園が10位となった。また2006年度には日本全国731カ所の中、清流園が6位、二の丸庭園が8位にランキングされた。

とても広々としていて雰囲気の良い開放的な庭園で、朝の雨が嘘のように青い空が広がっていた。二の丸御殿を見た後の散歩にはちょうど良く京都で最後の世界遺産を満喫する事が出来た。

残念ながら池は工事中か何かで水が抜かれていた。水が張ってあったらさぞかし素晴らしい庭園だっただろうと思う。
本丸御殿

内堀に囲まれた部分20,000平方メートルを本丸と呼び、五層の天守閣がそびえていたが、1750年に落雷のため焼失。さらに1788年には市中の大火のため殿舎をも焼失した。
こうして沢山の京都や奈良の建築物をまわっていると落雷による焼失と言うのがかなりある。数百年と言う長い年月の中ではやはり色々あるのだと言う事を思い知らされる。そう考えると世界最古の木造建築物である奈良の法隆寺は本当に凄い、木造建築物なのに1300年以上の月日を耐えて未だに健在だ。
現在の本丸御殿は、京都御苑今出川御門内にあった旧桂宮邸の御殿を明治26年から27年にかけて本丸内に移築したもの。
大政奉還(たいせいほうかん)
大政奉還は1867年(慶応3年)に江戸幕府第15代将軍徳川慶喜がが征夷大将軍の職を辞し、政権を明治天皇に返上することを申し出て、翌日に天皇がこれを勅許した。これにより265年続いた江戸時代(1603–1868)が幕を閉じる。
明治維新のクライマックスで司馬遼太郎の『龍馬が行く』やNHKの大河ドラマ『龍馬伝』、その他、新撰組の話や白虎隊の話など数多くの物語に関係する。個人的には大政奉還の前後の新撰組の映画『壬生義士伝』は佐藤浩市の最高傑作だと思う。また、トムクルーズ主演の『ラストサムライ』も大政奉還後の話で面白かった。
京都の霊山護国神社には幕末の偉人、坂本龍馬や中岡慎太郎、桂小五郎などのお墓がある。
京都・奈良、世界遺産の旅
長いようで短かった、とてもキツかったけれども充実していた京都・奈良、世界遺産の旅もこの二条城で終わりだ。二条城を後にするとレンタルサイクルを返す為に『京都ゆるチャリ倶楽部』へと向かう。
最後の最後で天気も爽やかに晴れ渡り、俺の心もこの旅の充実感に晴れ渡る。二条城から京都駅までの最後のサイクリングを楽しみながら充実感に浸っていた。
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