カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林 | メキシコの世界遺産

11月23日
俺たちは前日に、カラクムル遺跡を目指してベリーズからチェトゥマル経由でスプヒルの隣町のBecánと言う辺境の町までやってきた。この町にはBecánと言うマヤ遺跡がある以外、数件の食堂と数件の宿があるだけと言う辺境の町で、カラクムル遺跡を目指して来る人以外、ほとんど観光客は訪れない。
俺たちの目的ももちろん、世界遺産である『カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林』で、この日は前日に1800ペソで予約したタクシーでカラクムル遺跡に行く予定となっていた。
朝、朝食を食べていると約束の時間より少し早くにタクシーがやってきて、料金は半分の900ペソ(5千円ちょっと)でいいから、もう二人一緒に行く事になってもいいかと聞いてきた。俺たちの答えはもちろんYES。超ラッキーな事に、いきなりタクシー代が半額になった!
前日は踏んだり蹴ったりだったけれどもこの日は朝から幸先がいい。
そんな訳で、メキシコ人夫婦と共に、メキシコ最大級のマヤ遺跡、カラクムルを目指す事になった。
カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林
英名 : Ancient Maya City and Protected Tropical Forests of Calakmul, Campeche
2002年、2014年に複合遺産として登録

1931年にメキシコ南部、グアテマラとの国境近くで発見された先古典期後期から古典期にかけて繁栄したマヤ遺跡で、グアテマラのティカル遺跡と並ぶ古典期最大級の古代マヤ都市。
2002年に世界遺産に登録され、2014年には周辺の生物圏保護区含めた複合遺産「カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林」となった。

この地図を見るとわかるが前回、俺たちがジャングルの中を2日も掛けて辿り着いたマヤ文明最大の遺跡エル・ミラドールすぐ近くにある。俺たちがジャングルの中を2日掛けて歩いた距離から考えると、エル・ミラドールからわずか2日ほど歩けばこのカラクムル遺跡まで辿り着ける計算になる。
だが、俺たちは地図に書いてあるように大回りしてベリーズを抜け、何日に掛け、国境を越えて、正規のルートでこのカラクムル遺跡へと辿り着いた。
この地図を見るとわかるように古典期に最大の都市だったと言われるこのカラクムルとティカルは、先古典期後期(紀元前400年 – A.D.250年)に栄えたマヤ文明最大の都市、エル・ミラドールの衰退後、人々が別れ住んだのではないかと言う事が容易に想像出来る。

マヤ発祥の地とまで言われる古代都市エル・ミラドール、そして、その後2大勢力として、しのぎを削り合ったティカルとカラクムル、マヤ発祥から最盛期までの遺跡をこうして一気にまわれたのはとても嬉しい。
しかし、カラクムル遺跡は規模、質量、歴史、クオリティともにティカルに劣らないメキシコ最大級のマヤ遺跡で、世界遺産にまで登録されているのになぜか人気がない。
その最大の理由はアクセスの悪さと、料金の高さだろうきっと。
なにせ、俺たちの泊まっていたベカンの宿から片道、2時間近くも掛かった。その内の約一時間はひたすらジャングルの中を走っていったので、かなりジャングルの奥深くにあると言う事になる。エル・ミラドールへのジャングルトレッキングで散々、ジャングルを歩き回った俺たちとしては、マジで車が通れる道って偉大だなと思った。車で一時間のこの道も、歩けばきっと丸一日以上かかる。
普段、なにも考えずに使っているけれども実は、道って物凄くありがたい。
ちなみに、このジャングルの道には通行料がひとり50ペソほど掛かる。また、カラクムル遺跡の入場料は多分、ひとり65ペソ(約380円程度なので激安)。なぜ多分かと言うと、今まで役立たずだった学生証がメキシコでは輝くばかりの効果を発揮してなんと入場料タダ、フリー、無料!
ただでさえ、遺跡の入場料とか安いのにやっぱりメキシコって素晴らしい。

遺跡内はジャングルだがこんな感じで奇麗に整備された道を行くことになる。リアルジャングルと比べるとマジで歩きやすくて快適そのもの。

快適なジャングル。

1931年に発見されるまで深い森の中に眠っていたカラクムル遺跡。初めてこれを発見した人は度肝を抜かしたんだろうな
な、なんだこりゃ!
マジですげーぜと。
当時の冒険家は、いろいろと大変だったろうけれども、まだまだ未開の地が多く、地球はロマンに溢れていたのだろう。今でもトレジャーハンターみたいな人々は、このように命がけの大冒険をしているのだろうか?

矢印の書いてあるルートに沿って歩いていくと正直、前半は物足りない。すごいと言えばすごいのだけれども、ここに来るまでに結構な数の遺跡を見てきちゃっているので、正直な感想を言えば、ティカル遺跡の方がすごかったんじゃね?と言う感じだった。

でも、段々とスケールアップしていって、カラクムル遺跡もなかなかですねと思えるようになってくる。

カラクムル遺跡は後半に掛けてどんどん凄くなっていくので俺のオススメとしては前半はあまりピラミッドに登ったりせずに、サラサラっと見て、後半に備えて体力を温存しておく事をおすすめする。あんまり前半にはしゃぐと大物の残る後半には疲れてきちゃう。

さすがメキシコ最大級のマヤ遺跡だけあって、全体をざっくりとまわって大体3時間から4時間くらいの大きさ。さすがに見応えはある。

俺は思ったのだけれども、森はある程度整備されている状態がもっとも美しい。

遺跡から木がニョキニョキと生えてきているのは何もラピュタやアンコールワットだけではない。俺が今まで見てきたマヤ遺跡もかなり木が生えている。

多分、これがカラクムルで一番高いピラミッド。

沢山のピラミッドがあるので登るのもイチイチ大変。後半に備えて前半はあまり登らない方が良い。

もちろん頂上からの景色は絶景で、見渡す限りジャングル。

ピラミッドの上から見下ろす風景はとても気持ちが良かった。

この後も巨大なピラミッド群が続く。

前半はイマイチ迫力に掛けたけれども後半は流石のピラミッド群。これならティカル遺跡にも劣らないと言うのが良くわかる。

カラクムルは、562年に「空を見る者」と呼ばれる王が、今のベリーズにあった「オシュウィツア」(カラコル)を支援してティカルを破り、覇権を確立した。以後、中部低地を支配するが695年にティカルの王ハサウ・チャン・カウィール1世に敗れ、急速に衰退した。

さすがにメキシコ最大のマヤ遺跡と言うだけあって見応え十分な遺跡だった。
一緒にまわったメキシコ人夫婦も大満足の様子だった。
メキシコ人夫婦とはスペイン語で話していたからほとんど難しい話は出来なかったけれども彼らに言わせると、チチェンイッツァこそメキシコで、いや、世界一美しい遺跡だと言っていた。なるほど、確かに、メキシコでもっとも有名なマヤ遺跡はチチェンイッツァだ。俺たちもチチェンイッツァだけは見逃さないようにしよう。
マヤ最大の遺跡『エル・ミラドール』にある世界最大のピラミッドを目指し、グアテマラのジャングルを徒歩で100km
Becánでオススメの宿 Otoch Béek

Otoch Béek
一泊700ペソちょっとで朝食付き。安くはないが値段相応の宿で、とても居心地が良い宿だった
。また、家族経営の宿なのでみんなとても良くしてくれて最高だった。タクシーと揉めた時も自腹を切って収めてくれたり、旅行代理店に電話してくれたり、とてもお世話になった。ただし、Wi-Fiは使えない。
また、ブッキングドットコムを見る限りではこの辺の宿では安い方で、スプヒルにある他の宿は倍くらいの値段だったのでコストパフォーマンスも良いと思う。
俺たち的にはかなりオススメの宿なので同じルートを通る人にはぜひおすすめしたい。
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